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生活保護という制度は、患者自己負担が全く発生しないために、モラルハザードが起きやすい。通常、モラルハザードといえば患者側の話であるが、この場合、むしろ医療機関側にモラルハザードが働きやすいといえる。一般の患者であれば、自己負担を1割もしくは3割支払わなければならないため、過剰な検査や治療には、患者や家族から苦情が出ることになる。しかし、生活保護受給者の場合には医療扶助という形で全額公費負担となるため、このような抑制のメカニズムが働かないのである。また、ホームレスの人々や日雇い労働者は、単身者がほとんどであるから、家族によるチェック機能も働かない。
さらに、患者側にも一種のモラルハザードが働く。もともと、医療が必要であるという名目で生活保護にかかることが出来たのであるから、この病院ネットワークによる囲い込みを拒否した場合、病院から追い出されるだけではなく、生活保護も同時に打ち切られる可能性が高い。このため、過剰な検査、治療に苦しみながらも、それに甘んじざるを得ない状況に陥っているのである。